取組4:マネジメント人材育成・強化
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令和7年度ナレッジ創出プロジェクトについて
本学の主に事務職員を対象に、事務職員自らが日常業務において直面する課題を発見し、その解決に向けた取り組みを主体的に企画・実行することを支援する「課題解決で組織を強く!ナレッジ創出プロジェクト」を公募しました。本プロジェクトは、業務の効率化、職場環境の改善、組織内のコミュニケーション活性化、DX推進、人的資本の活用促進等につながる実践的な取り組みを支援することを目的とし、採択された取り組みには活動経費を支援することで、大学改革につながる好事例を創出することを目的として実施されました。
令和7年度ナレッジ創出プロジェクト採択プロジェクト一覧
組織の知を活かす AI 問い合わせ窓口の構築
プロジェクト概要
このプロジェクトでは環境安全に関する知識(ナレッジ)の一元化と、RAG(検索拡張生成)技術を活用したAIチャットボットの構築により、問い合わせ対応業務の効率化および属人化の解消に取り組みました。
成果
①「AI問い合わせ窓口」を構築・試験公開
学内ネットワークからアクセス可能な「AI問い合わせ窓口」を構築・試験公開しました(下図参照)。講習会資料、関連法令、業務マニュアル等をナレッジソースとして登録することで、廃液処理や水質管理といった専門的な質疑に対し、根拠資料に基づいた回答が可能な体制を整えました。
②他部署への展開
ナレッジシェアリングイベントの発表により、人事課から就業規則等に関するチャットボット構築の相談を受けるなど、他部局への展開に向けた具体的な足掛かりを得ました。

第 15 回 CSJ 化学フェスタ 2025 におけるコラボレーション企画への若手事務職員派遣 ~J-PEAKS への関心向上と若手職員の経験値 Up~
プロジェクト概要
日本学術振興会が実施する「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」をテーマに、日本化学会秋季事業『第15回 CSJ化学フェスタ2025』において、岡山大学を含むJ-PEAKS採択大学4校が共同で開催したコラボレーション企画への若手事務職員の派遣を通じて、大学の長期ビジョン「地域と地球の未来を共創し、世界の革新に寄与する研究大学」に向けた取り組みに対する理解を深めることを目的としました。3名の若手事務職員を「ジョブシェア制度」を活用して派遣し、10月24日(金)に東京・タワーホール船堀で開催された『第15回 CSJ化学フェスタ2025』に参加し、他大学の先進的な取組や、J-PEAKSが研究環境整備や大学改革にどのように貢献しているかを直接学び、自身の業務とJ-PEAKSのつながりを実感する貴重な機会になりました。
成果
①若手職員の意識・理解の深化
参加した3名の若手職員は、J-PEAKSが「研究大学の持続的発展」という大きなビジョンにどのように貢献しているかを、他大学の実例を交えて具体的に理解することができました。特に、奈良先端大のAI活用と人材育成戦略、山梨大のグリーン水素研究拠点構築、信州大の「アクア・リジェネレーション」による持続可能な社会実現といった取り組みから、「研究力強化」と「組織改革」が一体で進んでいる現実を実感することができました。
②業務とビジョンのつながりを実感
参加した若手職員からは「事務職員が教員の研究時間を守るために何ができるか」に改めて気づき、「教員の研究時間を守るためには、事務業務の標準化や業務の見直しが不可欠」との認識が明確に、また「雑務を事務で担うことで、先生方がより研究に集中できる」という「脱教員主義」のあり方を実感し、自身の業務改善に活かす意欲が高まったとの報告がありました。
③課題の可視化と対応の具体化
参加者からは「J-PEAKSの周知が学内全体で十分ではない」「事務職員の関与機会が少ない」という課題が浮き彫りになりました。特に、「他大学の若手職員との交流の機会が欲しい」「クロアポ(他大学短期出向)制度の導入を検討したい」という声が寄せられました。



ワークショップ「国の動向を読み解く力、今こそ身につけよう!」
プロジェクト概要
大学職員の高度化を目指して、国の政策や動向を理解し、学内施策に反映すること、さらに大学の先進的な取り組みや計画等を国に提案できる人材の育成を目的として、事務職員や技術職員、URA等向けにワークショップを企画、実施した。9~10月開催(全4回)のワークショップ「国の動向を読み解く力、今こそ身につけよう!」として講演やディスカッションを実施しました。
①概算要求の仕組み、②国の政策・動向の情報収集方法、③国の資料の読み解き方と活用方法、④学内施策への反映の仕方、企画立案の実践をテーマとして扱いました。
成果
①マネジメント人材として、またプロとして大学法人経営に参画する活発な議論
従来の大学法人経営を教員がとりあえず担う「教員中心」の運営を打破し、事務職員や技術職員がサポート人材でなくマネジメント人材として、またプロとして大学法人経営に参画するために活発な議論を展開しました。「国の動向はなんとなく分かるが、今さら誰にも聞けない」といった若手・中堅職員の現場の悩みを解決し、「国の動向を読み解ける」、「国の議論を踏まえた企画立案ができる」、「0から1を組成できる人材を増やす」ことを目指す観点から議論を展開できました。
安全保障輸出管理におけるリスク自動チェックツール開発
プロジェクト概要
岡山大学の教職員による海外出張や貨物輸出における、安全保障輸出管理上のリスクを自動で可視化するツールを開発しました。AIエージェント活用サービスを手掛ける株式会社TIMEWELL社と連携し、機密保持契約(NDA)を締結した上でプロジェクトを推進しました。
具体的には、既存の「事前確認シート」の入力情報(CSV、Excel、直接入力)をインプットデータとして活用しました。AIエージェントが、経済産業省、米国商務省(CSL/BIS)等の外部データベースや公開情報を自動で照合し、リスト規制・キャッチオール規制の観点から懸念度を判定する仕組みを構築しました。
- 判定アルゴリズム: 懸念度を「極めて高い」から「低い」までの4段階で算定し、ダッシュボード上に可視化
- 連携体制: 輸出管理本部チームとTIMEWELL社による度重なる打ち合わせを経て、実務に即したUIをデザイン
成果
年間約2,000件に及ぶ事前確認業務において、属人的な判断に依存しない効率的で透明性の高い審査体制の基盤を構築しました。
- 審査の平準化: 担当者の経験差による判断のばらつきを排除し、誰が担当しても同じ品質で審査できる「スクリーニングの平準化」の道筋を立てました。
- 濃淡管理の実現: リスクの高低に応じて審査の労力を配分する「濃淡管理」が可能となり、組織全体の業務効率と正確性が向上しました。
- ヒューマンエラーの削減: AIによる自動照合により、膨大なリストからの情報収集漏れや確認ミスを物理的に抑制しました。

大学トップ層への戦略的支援体制構築に向けた新組織の在り方検討
プロジェクト概要
本取組は、学長・理事等の大学トップ層に対し、意思決定の質とスピードを高める戦略的支援を提供できる体制を構築することを目的として実施しました。
激動する高等教育環境の中で先行して戦略的支援組織を整備している大阪大学、広島大学、熊本大学、金沢大学を視察(加えて、信州大学とは本学において打合せを)し、各大学の実例を詳細に調査しました。特に、トップ直轄の戦略部署の役割、秘書室との役割分担、人員構成、業務プロセス、意思決定支援の実態などを確認しました。その結果、本学に不足している支援機能を具体的に把握し、新組織(仮称:学長戦略室)の必要性とその方向性を整理することができました。
成果
①他大学における戦略的支援体制の特徴を把握
視察した各大学では、機能面や運用面で差はあるものの、秘書室と戦略的支援部署が明確に分離しており、トップ直属の独立性の高い組織が設置されていました。特に以下の点が顕著でした。これらの事例により、本学において”事務的支援と戦略的支援を兼務している”秘書グループの体制が、制度的な限界を生んでいるという構造的課題が明確になりました。
- 政策企画、改革推進、重点施策のモニタリング、データ分析を専門に担う
- 明確なミッションと高い専門性を持つ職員が配置
①新組織案の基礎となる方向性の整理
本取組を通じ、以下の方向性が本学にとって妥当であると判断しました。これにより、大学トップ層の支援体制が明確に分化し、機能として高度化する未来像を描くことが可能となると考えました。
- 秘書グループは従来通り、事務的支援に特化
- 戦略的支援は新たに設置する「(仮称)学長戦略室」が担う
- 「(仮称)学長戦略室」は、学長・理事と関係部署をつなぐ結節点として機能
- 将来的には企画部門・IR部門などと連携し、大学経営の頭脳として機能する体制を構築
岡山大学版ナレッジシェアリング
プロジェクト概要
大学院修学支援制度や研究開発マネジメント人材認定制度など、事務職員や技術職員の高度化を推進する中、部署の壁を越えた情報交流の場を創出することを目的とし、2026年3月9日(月)に新潟大学より特別ゲストを招へいし、組織全体の知見を共有するワークショップや意見交換の機会を設け、学内における業務改善、職場環境改善、教職協働の好事例、AI・DX 推進事例などを取り上げる発表者を募集し、発表と意見交換を通じて、学内全体でのナレッジ創出を促しました。
成果
①ナレッジワーカー育成の基盤構築
務職員や技術職員の高度化を推進する中、組織の壁を越えた課題共有・解決策の議論の場を創出しました。当日のイベントには40名の参加があり、多様な部署における業務改善事例や技術的知見(AI活用したツール作成、組織再編に向けた検討、合理的配慮など)、その解決方法について共有され、ナレッジワーカー育成のための基盤が構築されました。
②学内外のネットワーク形成
学内のナレッジをシェアするためのネットワーク形成だけでなく、新潟大学(学務部・総務部)からの特別ゲストを招へいしたため、他大学との交流もできました。他大学で行われているナレッジシェアの体制についても伺うことができ、学外の好事例のシェアを受けることができました。


人事業務改善に向けたナレッジ収集・実地調査~他大学の先進事例に学ぶ人事業務高度化~
プロジェクト概要
人事課において、香川大学・京都大学・立命館大学を対象に人事系業務に関連するナレッジ収集および業務改善につなげる取り組みを実施しました。「他大学の先進事例に学び、人事業務の高度化・効率化を図る」という目的のもと、文献等では把握しにくい実務レベルでの運用実態や工夫、課題対応の考え方を現地で直接収集することを重視して実施しました。
各大学へ、採用、給与、勤務管理、評価、研修支援を担当する主査以下の各職員が訪問し、現場での課題や取組事例についてディスカッションを行うことで、より必要性の高い具体的な課題や実践的な事例について理解を深めることができました。また、収集したナレッジ等は課内で共有し、業務改善につなげました。
成果
①採用選考プロセス(AI 面接の導入)(香川大学)
AI面接を導入した大学から、実際の映像や評価プロセス、運用上の工夫について知見を得て、職員の負担軽減が図られている点や、評価の客観性確保に一定の効果があるとの意見を伺いました。
②デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進(京都大学)
クラウド人事管理システムやAIチャットボットの導入、申請業務のペーパーレス化など、トップダウンでDXを推進していました。
③キャリアパスと人材育成(立命館大学)
事務職員から理事へのキャリアパスの構築、人材育成への積極的な投資、特色ある研修制度について説明を受けました。
④人事制度の運用(香川大学)
個人番号の付与や退職職員の再雇用制度、プロパー出身者の理事・副学長登用など、本学が抱える具体的な課題に対する知見を得ました。
⑤組織構造とシステム導入のあり方(立命館大学)
人事労務関係でのシステム導入状況や課題、コーポレート機能や関連子会社への人事業務の委託などの説明を受け、中長期的な視点で人事業務の高度化や人材育成を検討する上で、多くの示唆を得ました。
事務室内情報共有支援チャットボット「アシスタ(AssistA)」(仮)導入提案
プロジェクト概要
学内に整備されているクローズドLLM(おいとま)を基盤とし、事務職員向け情報検索・問い合わせ支援チャットボット「AsistA」を作成しました。業務に関する各種資料や手順、よくある問い合わせ等を学習データとして登録し、職員自身が回答内容をレビューしながら育てていく仕組みを構築することで、知識を共有財産として蓄積し、新任職員の立ち上がりの遅れ、特定の職員への問い合わせ集中、情報探索に要する時間的ロスなど、情報の属人化と非効率の改善を目的としました。
成果
①チャットボット「AsistA」の基本システムの構築
実際に質問応答が可能な状態まで整備することができました。一方で、学習データの取り込みについては「ナレッジ」である個別の業務知識のマニュアル化と学習データとして利用できる形式への変換に時間を要し、一部未完了です。
②ナレッジ創出の現実的な課題の把握
各業務に関する全学向けのマニュアル自体は整備・共有されているのですが、研究・イノベーション共創管理統括部の個別業務に関する知識は全学向けのマニュアルに反映されていません(=個人の経験値状態)。既存資料をそのまま学習データとして活用することはできず、知識を文章に書き起こし、さらにチャットボットで利用しやすい形式に変換する作業から着手する必要があることがわかりました。この機会をAIの学習の機会と捉え、引き続きAsistAの改善を行っていきたいと考えています。
