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TOP / 取組3:研究環境整備・技術人材変革 / 光が拓く未来 -九州シンクロトロン光研究センターと相互協力覚書を締結-

2025年8月1日、公益財団法人佐賀県産業振興機構九州シンクロトロン光研究センター(以下「SAGA-LS」)と装置の相互利用をはじめとする連携を推進するための相互協力に関する覚書を締結しました。

那須保友岡山大学学長と廣沢一郎九州シンクロトロン光研究センター所長(右)

放射光で広がる研究の可能性

SAGA-LSは、九州における先端研究拠点であり、『放射光』という特別な光を生み出す装置を有する施設です。放射光は、物質の内部構造を原子レベルで調べることができる研究ツールで、新素材や次世代電池の開発、環境技術の向上など、社会に直結する多様な分野で活用されています。SAGA-LSでは農林水産分野にも力を入れており、放射光照射による花きの突然変異育種の研究などを行っています。

今回の覚書により、本学の研究者や学生も、SAGA-LSの装置を利用しやすい環境が整いました。これにより、本学の研究シーズをさらに発展させる機会が生まれ、基礎から応用に至る幅広い研究の可能性が開かれます。SAGA-LSとの連携強化は、放射光を利用する研究者にとって研究の推進上非常に重要な意味を持ちます。

 

SAGA-LSで実施した、照射による菊の突然変異育種の様子

(出典:佐賀県農業試験研究センター  K.Sakamoto & T.Takamura Acta Hortic.1404.ISHS 2024.DOI:10.17660/ActaHortic.2024.1404.95 P693)

放射光利用による産学連携にむけて

岡山大学では、産学連携の一環として『放射光利用分析サポートサービス』を開始しています。本サービスは、企業や研究機関が放射光を活用した実験をスムーズに進められるよう、本学が窓口となり、放射光施設と連携して実験計画のコンサルティングから測定・データ解析までを支援します。今回のSAGA-LSとの覚書締結により、このようなサポートサービスを通じて、学内外の研究者や企業が、より高度で多様な放射光実験にアクセスできる環境が整いました。

 また、SAGA-LSからも本サポートサービスを通して、本学が所有するクライオ電顕をはじめとする先端機器が利用できるため、双方向に装置が利用できるサービスとなっています。

 調印式の午後には、放射光を初めて利用する教職員や企業の方々を対象に、『岡山大学利用連携Workshop「放射光を利用してみませんか?」』を、本学津島キャンパスの創立五十周年記念館で開催。本Workshopでは、サポートサービスの紹介や放射光施設の概要に加え、実際の装置利用例の紹介として本学教員・放射光施設職員に加え、企業の方に発表いただき、約110名が参加しました。また、本イベント後に放射光利用に関するご相談も受け、利用に向けてサポート支援を実施。本Workshopを通じて、各施設の利用方法や分析事例が共有されただけでなく、参加者間の交流が深まり、今後の共同研究や技術連携のきっかけが生まれました。本学は、引き続き放射光をはじめとする先端分析技術の普及と、産学連携の推進に取り組みます。

岡山大学に設置しているクライオ電顕について発表を行う沼本修孝准教授

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